一言で
GitHub Enterprise Cloud は 誰がアカウントを管理するか と データをどこに置くか で 3 つの形態に分かれる。
EMU は会社の IdP からアカウントを払い出す方式。データレジデンシー は EMU を前提に、GHE.com の専用サブドメインで 日本などの指定リージョン にコードとデータを保存する方式。自社でホストしたい場合は GitHub Enterprise Server(GHES) という選択肢もある。
GitHub Enterprise の 4 つの形態 📖 Docs
GHEC は作成時に アカウントの種類 と 保存先 を選ぶ。GHES はオンプレか自社クラウドで運用する GitHub。
| 個人アカウント | EMU | データレジデンシー | GHES | |
|---|---|---|---|---|
| 🏠 ホスト | github.com | github.com | *.ghe.com | 自社 |
| 👤 アカウント | 各自で作成 | IdP(SCIM) | IdP(SCIM) | インスタンスで作成 |
| 🔐 認証 | パスワード、SAML 任意 | SAML / OIDC | SAML / OIDC | LDAP、CAS、SAML |
| 🗾 保存先 | 米国 | 米国 | EU、豪州、米国、日本 | 自社で選択 |
| 📢 Public repo、Gist | ✅ | ❌ | ❌ | ⚠️ インスタンス内のみ |
| 🤝 社外との協業 | ✅ | ❌ 閲覧のみ | ❌ | ❌ |
| 🔄 アップデート | 自動 | 自動 | 自動 | 管理者が実施 |
| 🤖 Copilot | ✅ | ✅ | ✅ | ⚠️ IDE / CLI のみ |
| ⚙️ ホストランナー | ✅ | ✅ | ⚠️ macOS なし | ❌ セルフホスト |
GHE.com と GHES で使えない機能 📖 Docs
GitHub.com の EMU と比べた差分。❌ は使えない、⚠️ は条件付き。
📖 GHE.com の機能の概要 ↗ 📖 GHES について ↗
個人アカウントの全体像 📖 Docs
個人アカウントは Enterprise の 外側 にあり、招待されて Organization に参加します。
- ✅ 管理者が制御できるのは Enterprise 内だけ(例: Organization で public repo の作成を許可するか)
- ⚠️ 管理者の影響範囲外: 社外 Organization とそのポリシー、個人 repo(public / private)、Gist、社外 repo への PR や Star
EMU の全体像 📖 Docs
EMU のユーザーは Enterprise の 内側 に作られます。
- ✅ Enterprise 内の Organization には所属可能。個人 repo は private のみ で、ポリシーで許可または禁止
- 🚫 public repo と Gist は作成不可、社外 Organization には所属不可。github.com の public repo は 閲覧のみ(PR、Issue、Star 不可)
EMU と SAML 連携の違い 📖 Docs
個人アカウントでも SAML SSO は使えます。違いは アカウントの持ち主 と ログインの流れ です。
| 個人アカウント + SAML | EMU | |
|---|---|---|
| 🔐 SSO プロトコル | SAML のみ | SAML、または OIDC(Entra ID のみ) |
| 🔗 SSO の設定単位 | Enterprise または Org | Enterprise のみ |
| 🔄 SCIM | 任意。Org へのアクセス管理のみ | 必須。アカウントを作成、停止 |
| 🚪 ログイン | GitHub の ID とパスワード + IdP | 最初から IdP でログイン |
| 🏷️ ユーザー名 | 利用者が管理 | IdP が管理(mona_octocorp) |
EMU の制約事項 📖 Docs
管理しやすさの裏返しとして、導入前に次の 4 点を確認します。
データレジデンシー(GHE.com)とは 📖 Docs
GitHub.com のデータは既定で 米国 に保存されます。データレジデンシーを選ぶと、Enterprise は GHE.com の専用サブドメイン(例: octocorp.ghe.com)に作られ、コードとデータを指定リージョンに保存できます。
- 🗺️ リージョン: EU、オーストラリア、米国、日本(2025 年 12 月 GA)
- 🔐 ID: EMU のみ。GitHub.com のコミュニティからは分離
- ☁️ GHES との比較: Copilot などの最新機能をすぐ使え、アップグレードの停止も不要
| 📍 リージョン内に保存 | 🌐 リージョン外に置かれ得るもの |
|---|---|
| リポジトリ、コード、PR、コメント | 個人を直接特定しない ID 入りテレメトリ |
| Actions のデータとログ、BCDR | 請求、ライセンス、サポートの情報 |
| メール、ユーザー名、氏名、IP | Copilot のデータ(既定)、Secret の有効性チェック |
GitHub.com との違い 📖 Docs
使える機能は GitHub.com 上の EMU とほぼ同じです。ただし一部は未提供で、URL も変わります。
- 🛒 GitHub Marketplace なし。Action や App はソースから導入
- 🍎 macOS ランナー と Packages の Maven / Gradle は未提供
- 📊 Org / Enterprise の dependency insights は未提供
| 用途 | GitHub.com | GHE.com |
|---|---|---|
| API | api.github.com | api.SUBDOMAIN.ghe.com |
| Container registry | ghcr.io | containers.SUBDOMAIN.ghe.com |
| SSH clone | git@github.com: | SUBDOMAIN@SUBDOMAIN.ghe.com: |
⚠️ IP 範囲と SSH フィンガープリントも GitHub.com とは別。ファイアウォールや IdP、ストレージの許可リストを GHE.com 用に更新する。
Copilot × データレジデンシー 📖 Docs
GHE.com でも Copilot Business / Enterprise を割り当てれば利用できます(Copilot Pro と Free は不可)。ただし Copilot のデータは 既定ではリージョン外 で処理されます。リージョン内に閉じるには Enterprise の Copilot ポリシーで Restrict Copilot to data residency compliant models を有効化します(既定は OFF)。
| 既定 | ポリシー有効時 | |
|---|---|---|
| 🧠 推論、プロンプト、ログ | リージョン外の場合あり | リージョン内 |
| 🤖 利用できるモデル | すべてのモデル | リージョンで認定されたモデルのみ |
| 💰 AI クレジット消費 | 通常 | +10% |
| 🗺️ 対応リージョン | 全リージョン | 米国と EU のみ |
⚠️ 日本リージョンは現時点で Copilot のリージョン内推論に未対応。日本の Enterprise でも Copilot のデータはリージョン外で処理される。
★ どれを選ぶ? 📖 Docs
形態は Enterprise を作る前に 決めます。次の 3 つの質問で判断します。
flowchart LR
Q1{"データの保存場所を<br/>指定する必要がある?"}
Q2{"public repo、Gist、<br/>社外 OSS 協業が必要?"}
Q3{"IdP をユーザー管理の<br/>正にできる?"}
DR(["🌏 データレジデンシー<br/>GHE.com + EMU"])
EMU(["🏢 EMU<br/>github.com"])
PA(["👤 個人アカウント<br/>+ SAML SSO"])
Q1 -->|"Yes"| DR
Q1 -->|"No"| Q2
Q2 -->|"Yes"| PA
Q2 -->|"No"| Q3
Q3 -->|"Yes"| EMU
Q3 -->|"No"| PA
classDef q fill:#0a0e27,stroke:#00f0ff,color:#00f0ff,stroke-width:2px
classDef dr fill:#1a0a2e,stroke:#ff2e88,color:#ff2e88,stroke-width:2px
classDef emu fill:#1a1500,stroke:#ffb000,color:#ffb000,stroke-width:2px
classDef pa fill:#0a1a14,stroke:#9bbc0f,color:#9bbc0f,stroke-width:2px
class Q1,Q2,Q3 q
class DR dr
class EMU emu
class PA pa
⚠️ 作成後に形態は切り替えられない。既存の個人アカウント Enterprise から EMU や GHE.com へ移るには、新しい Enterprise を作って移行(GitHub Enterprise Importer など)する。